「206」日直日誌#3 「浅見さんと永井さんに話を聞く。前編」

  こんにちは。「206」日直の中村です。

 7月12日のはなしをします。その日は、赤坂にて稽古がある予定でした。しかし、主宰の越さんが稽古時間を勘違いしていたことが分かり、稽古が中止になりました。急遽時間ができた「206」出演者一同と日直の僕は、いそいそとご飯を食べに行きました。その時、浅見さん、永井さんのお二人に、(劇)ヤリナゲとの出会いや今回の公演について話を伺えましたので、そのお話をします。

 前後編に分けての掲載となります。ぜひ後編も読んでください。



(写真は、浅見臣樹さんです。永井さんの写真は後編にて。)

ーー今回、「206」に関わることになったきっかけはなんですか?

浅見臣樹さん(以下、浅見):主宰の越くんとは、去年、王子小劇場であった「演出家ワークショップ」で知り合いました。その後、前回の『スーサイド・イズ・ペインレス』も出演者の菊池美里さんが知り合いだったので見に行って。それから、僕がやった一人芝居に越くんを呼んで、彼がまんまと観に来てくれて、そうしたら、数日後に電話で越くんから出演依頼が来て、今回出ることになったという感じです。

永井久喜さん(以下、永井):私も越さんとは、浅見さんと同じ「演出家ワークショップ」で知り合いました。その後、私も『スーサイド・イズ・ペインレス』を見て、越さんとお酒を飲んでいるときに、オファーをもらったんです。越さんに客演のお話を頂いたときに、私はヤリナゲの稽古と同じ時期に、劇26.25団さんの演出助手を引き受けていたので参加は難しいのではないかとお話ししたところ、越さんはワンシーンだけに出演する女優を探していらして、稽古場にベッタリ来させるのも申しわけないからとNGありきでその役のイメージに合う人を探していらしたんです。双方条件が合いました。

ーー浅見さんと永井さんが越さんと出会った「演出家ワークショップ」について、越さんによる演出の印象など、教えてください。

浅見:ワークショップの中で、5人の演出家がそれぞれ演出プランのプレゼンをして、俳優側は3人まで出演希望を選べたんです。自分は越くんの演出プランを聞いて、その時、2位に選びました。

その時の課題として配られた戯曲は昔のもので、「・・・・だわ」みたいな口調のものをどう恥ずかしくなく行うか?ということについて、話していたんだけど、越くんは「ごにょごにょ喋れば成立するんじゃないか、人がごにょごにょ喋るのはピロートークの時だ!」みたいなことを言っていて、現代だとやりにくい戯曲を今の人たちがやれるように演出しているのが、面白かったんです。

『スーサイド』もそうだったんだけど、演出が逃げてない、という印象があります。つまんないと言われても受け入れる、というか。越くんってこんなん(稽古予定を間違えて、横でとても落ち込んでいる越さんを指差しながら)だけど、ちゃんと演劇やるということに対しては真摯に立ち向かっているんだなぁ、と。

あと、そのワークショップの発表で、越チームの作品は他のみんなに期待されていた、楽しみに待たれていたことが印象的でした。

永井:私はそのワークショップで、越さんのチームを第一出演希望にしました。それで、越チームの役者になって演出してもらったんだけど、自分のやりたいことに似ているなぁ、と思ったんです。それは、役者としてただそこにいること、とか、台詞を台詞にしないみたいなことなんだけれど、自分としてもそういうことをやっていきたいと思っていたので、とても面白かったです。この人と今後も一緒に仕事をしたいなと思いました。

 この後、「実際にヤリナゲの稽古をしてみて気づいたこと」や「206にむけて」のお話を聞きました。この様子については、明日更新の後編でお届けします。

 ぜひお読みください。